不正競争防止法とは?
不正競争防止法は、事業者間の公正な競争を確保するために制定された法律です。具体的には、以下のような行為を禁止しています。
1. 周知表示混同惹起行為
他人の周知表示(ブランド名や商品名など)に類似する表示を使用することで、消費者の混同を招く行為を禁止します。
例
- 有名ブランドのロゴに酷似したロゴを使用する
- 競合他社の商品名に酷似した商品名を使用する
2. 著名表示冒用行為
他人の著名表示(商標や地理的表示など)を不正に使用する行為を禁止します。
例
- 有名ブランドの商標を無断で使用して商品を販売する
- 特定地域で生産された商品であると偽って販売する
3. 形態模倣商品の提供行為
他人の商品の形態を模倣した商品を提供することで、消費者の混同を招く行為を禁止します。
例
- 競合他社の商品の形状やデザインを模倣した商品を販売する
4. 営業秘密の侵害
営業秘密を不正に取得・使用・開示する行為を禁止します。
例
- 従業員が転職先で前職で知り得た営業秘密を使用する
- 競合他社が不正手段で営業秘密を入手する
5. 限定提供データの不正取得等
契約に基づき限定的に提供されたデータ(顧客情報など)を不正に取得・使用・開示する行為を禁止します。
例
- 顧客情報リストを不正にコピーして持ち出す
- 顧客情報リストを第三者に販売する
6. 技術的制限手段無効化装置等の提供行為
著作権法等で認められた技術的制限手段を無効化する装置を提供する行為を禁止します。
例
- DVDの複製防止機能を無効化する装置を販売する
7. ドメイン名の不正取得等の行為
他人の商標等を含むドメイン名を不正に取得・使用する行為を禁止します。
例
- 競合他社の商標を含むドメイン名を取得してウェブサイトを運営する
8. 誤認惹起行為
消費者を誤認させるような表示を使用して、商品やサービスを提供する行為を禁止します。
例
- 医薬品と誤認されるような表示を使用して健康食品を販売する
- 有機農産物と誤認されるような表示を使用して農産物を販売する
9. 信用毀損行為
虚偽的事実を告知・流布することで、競合他社の信用を害する行為を禁止します。
例
- 競合他社の商品が安全ではないと虚偽の情報を流布する
- 競合他社の経営者が不正をしていると虚偽の情報を流布する
ベンチャー企業の落とし穴
ベンチャー企業は、以下のような点に注意が必要です。
- 競合他社の周知表示や著名表示に類似する表示を使用しない
- 営業秘密を適切に管理する
- 契約に基づき限定的に提供されたデータは、契約の範囲内で使用する
- 技術的制限手段を無効化する装置を提供しない
- 他人の商標等を含むドメイン名を不正に取得・使用しない
- 消費者を誤認させるような表示を使用しない
- 競合他社の信用を害するような虚偽の情報を流布しない
これらの行為を行った場合、差止請求や損害賠償請求を受ける可能性があります。
まとめ
不正競争防止法は、事業者間の公正な競争を確保するために重要な法律です。ベンチャー企業は、上記の落とし穴に注意し、法令遵守を徹底することが重要です。
参考資料